ソクラテスの最後に立ち会った人のうちの一人であるパイドンがその様子を借り聞かせるという構造。よってプラトンの存在はぼかされている。
一読しただけで全てを理解するのは不可能であるため、様々な知見を得てから読み直したいと思う。
①魂の性質
②魂と肉体の関係性
③魂の不滅
④魂の行方
①において提唱された起草説が個人的にはつかみにくかった。魂は肉体に宿る前に知識を有しており、肉体に宿ると獲得した知識を忘却する?よって人生は言論(哲学)によって知識を再び獲得する作業。
②は比較的容易、肉体的な欲望にとらわれることで、魂は不滅であるのにもかかわらず、死を過度に恐れてしまう。墓地の幽霊といったものは、肉体への未練を断ち切れなかった魂、或いは、肉体的な欲望にとらわれている生命の願望(幻覚)。⇨魂の不滅を確信するものの魂は冥界へと旅立つため、現世に留まらない。
③、④生命活動が停止すると魂は死に籍を譲り旅立つため(良き魂は冥界へと一直線)、消滅することはない。このことをあれこれ例えている。
魂についての個人的な見解
肉体的な欲望も生きている間には魂に多分に影響していると考える、硬式野球ボールのイメージ(良き魂と肉体的な欲望から生成される悪い魂の二枚の皮で構成され、完全には交じり合わないため、葛藤が生じる)。生前においても悪い魂は肉体的な欲望とリンクしているため、生きやすいように作用するが真理に至ることはなく、本当の意味での幸せを獲得することはない。よって生きている間に言論(哲学)によって悪い魂を可能な限り分離すれば肉体が朽ちた後に迷うことなく冥界へ至ることが可能となる。
転生は冥界へ至れなかった魂によってのみ行われる。ここでは知識の忘却も併せて行われるため、現世が悪人で埋め尽くされることはない。(かぐや姫の罰、原罪的な発想)